インライン関数 (C++をもう一度)
[履歴] [最終更新] (2014/12/23 10:46:33)

サンプルコード

プログラムはメモリ上に読み出されてその上で動いています。そのプログラム内で関数が使用されている場合、メモリ内には関数のアドレスも存在しています。関数を実行すると、関数の内容が読み出されているメモリのアドレスに処理のポイントが移動されます。この作業には多少の時間がかかるため、関数を実行した部分に関数の内容を直接埋め込んで、処理のポイントを移動させる必要のない状況を実現したいことがあります。これは、コンパイラに inline という要望を出すことで実現できることがあります。

感覚としてはマクロや #include と同じです。展開するためには実装が見える必要があるため、ファイル分割をするならばヘッダファイルに実装を記述する必要があります。また、直接埋め込み展開されるため、呼び出す場所が多ければそれだけプログラムのサイズも大きくなります。あまりにも肥大化すると判断されると、inlineが無視されてコンパイルされます。inline 展開するかどうかの判断はコンパイラに任せられています。

sub.h

#ifndef SUB_H_
#define SUB_H_

#include <iostream>

// インライン関数
inline void MyFunc() { // インライン関数化を要望
    static int intval = 1; // 静的変数の実体はインライン関数であっても共通です。
    std::cout << "MyFunc: " << intval << std::endl;
    // ↑ヘッダファイル内では using は使用すべきではありません。
    ++intval;
}

// インラインメンバ関数
class MyClass {
 public:
    int Get() const;

 public:
    // クラス内に処理を記述すれば inline 要望できます
    void Set(int intval) {
        m_intval = intval;
    }

 public:
    void _Set(int intval);

 private:
    int m_intval;
};

// クラス外に処理を書く場合は inline と記述します
// (前述の通り、ヘッダファイル内に処理を記述する必要があります)
inline void MyClass::_Set(int intval) {
    m_intval = intval;
}

#endif // #ifndef SUB_H_

sub.cpp

#include "sub.h"

int MyClass::Get() const {
    return m_intval;
}

main.cpp

#include "sub.h"
#include <iostream>
using namespace std;


int main() {
    MyFunc(); //=> MyFunc: 1
    // cout << "MyFunc" << endl; // と展開されます。
    MyFunc(); //=> MyFunc: 2

    MyClass obj;
    obj.Set(0);
    cout << obj.Get() << endl; //=> 0
    obj._Set(1);
    cout << obj.Get() << endl; //=> 1

    return 0;
}

Makefile (文法については、こちらを参照してみてください)

CC = g++
CFLAGS = -g -Wall

ALL: main.o sub.o
    $(CC) $(CFLAGS) -o main main.o sub.o

main.o: main.cpp
    $(CC) $(CFLAGS) -o main.o -c main.cpp

sub.o: sub.cpp sub.h
    $(CC) $(CFLAGS) -o sub.o -c sub.cpp
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